
技術の進歩は早いもの。ブランクが長いほど不安になるのは当然だと思います。

Webサービス制作が主な業務で、HTML, CSS, JavaScriptを使うフロントエンド開発から、PHPを使うバックエンド開発のほか、最近ではPythonによる画像解析など幅広い業務を担当しています。
そんな私も今の仕事に就く前は、専業主婦で15年ものブランクがありました。
前職はゲームプログラマーで、主にC言語を使ってWindowsアプリケーションの制作に携わっていましたが、実務経験は累計で2年。実績も少なく就職できるのかとても不安でした。
こんな会社に就職しました
私は家庭と仕事を両立したかったので、会社選びで重要視したのは働き方の柔軟性でした。
求人情報の勤務時間や福利厚生などから、ある程度のイメージは掴めましたが、
応募の前後や面接の時にすり合わせをしました。
勤務時間・福利厚生
勤務時間は基本8時間ですが、短時間勤務で働くことができます。
私を含め、子育て中の社員は6時間勤務です。
また、コアタイムがあるフレックスタイム制なので、
もし出勤直前に家庭で問題が発生しても、対処してから出勤することができます。
そして、小さな子どもを持つ社員は、
子どもと配偶者が病気になった時に特別休暇を取得できる制度もあります。
仕事内容
Webサービスの開発がメインで、
フロントエンドからバックエンドの開発まで携わることができます。
私にとっては未経験の範囲が広く、貢献できるのか不安でしたが、
開発のプロセスを学ぶために最大限の努力をしようと思いました。
採用選考
就職活動では書類選考がネックになっていて、
せめて面接だけでもさせて欲しいと願う状況でした。
そんな中で見つけたのが今の会社です。
「人を書類で判断しない」との理由で書類選考はなく、面接と採用試験がありました。
面接では質疑応答を通してすり合わせをおこない、その上で試験を受けるかどうかを決めます。
採用試験は与えられたテーマに沿ったWebシステムの提案書を、
自分で決めた期日までに提出するという内容でした。
提案書には、企画から要件定義、設計、デザイン、見積もりまで記載する必要がありました。
書籍やインターネットでは得られない情報を集めるため取材にも行きました。
その結果、残念ながら提案書だけでは合格点に満たなかったため、
後日、社員の前でプレゼンテーションをして、提案内容を補足することになりました。
プレゼンテーションに参加した社員から、データ設計や見積もり、開発工程の完成度が、
専業主婦だとは思えない、と驚かれました。
前職のプログラマーとしての経験が、ここで役に立ったのだと思います。
そして、プレゼンをしたその日に採用が決まりました。
なぜ就職することができたか
出産を機に専業主婦になり、家事と育児に追われる日々を送っていましたが、
わずかでも自分の時間ができたときに趣味を楽しんでいました。
そのひとつがWebサイト制作でした。
特に意識していたわけでもなく、ただ何となく続けていたことが、
結果的に役に立ったのだと思います。
Webサイト制作
専門学校で学んだ HTML / CSS が好きで、その時に開設したWebサイトに、
妊娠・育児日記のカテゴリーを追加して、更新やリニューアルを続けていました。
しかし、2人目を出産してからはその余裕がなくなり更新をやめてしまいました。
知人にWebサイトの制作を頼まれたのは、その5年後でした。
私の知識はかなり古くなっていたので、
情報収集していたところWordPressを知り、採用することにしました。
サーバーサイドのスクリプト言語であるPHPに触れたのは、この時が初めてでした。
資格取得
カラーコーディネーターと簿記検定の資格を取りました。
資格取得を決めたのは、知識を身に付けて自分に自信をつけるためです。
勉強のために机に向かうことや試験当日の緊張感は、とても良い経験になりました。
将来設計
子育てがひと段落すると、自分の将来について考えるようになりました。
社会に出れば、まだ自分にできることがあると信じて、
少しずつ社会復帰しながら自立する計画を立てました。
起業へ向けて
家庭と仕事の両立を考えると、起業すれば自宅で自由な働き方ができると思いました。
そこで、Webサイト制作で起業することを決め、準備を始めました。
早朝の短時間アルバイトで収入を得ながら、情報収集とスキルアップをしました。
アルバイトは私だけでなく家族にとっても社会復帰へのステップになりました。
スキルアップにはオンラインプログラミング学習サービスを利用するなど自己投資も必要でした。
就職活動
準備を始めてから3年が経ち、その間に事業内容を紹介するWebサイトを公開しましたが、
そう簡単に仕事の依頼が来るはずもなく、仮に依頼があったとしても、
どことなく業界未経験であることに自信が持てなかったので、
遠回りだけど就職をして、業界の現状を見たり経験を積もうと思い、今に至ります。
就職して発見した自分の強み
ブランクがある自分を卑下することなかれ!
専業主婦として、また子どもを育てる母親として過ごしてきた日常は、
心の成長のために多くの機会が与えられていたということに気が付きました。
専業主婦の経験
家庭を守る専業主婦は、細分化された多くのタスクを
いかに効率良くこなすかを考えて過ごしています。
それは業務に置き換えることもできて、その能力を発揮します。
子育ての経験
年齢や性別、相性に関係なく対等に接することができたり、
視野が広がり、どんな状況にも冷静な判断ができるようになりました。
子育てを通して母性が育ちます。
その優しさと強さが人々に信頼や安心感を与えるようです。
家庭と仕事の両立の実際
家事や育児に関しては、専業主婦のころと同じパフォーマンスは正直出せなくなりました。
でも、それで良いと思っています。
完璧を求めたら、それこそ家庭が崩壊してしまい元も子もありません。
夫との家事分担は常に課題で、
子どもには自分のことは自分でしてもらうなど、家族の協力は不可欠です。
同じように会社にも理解してもらうことが大切で、
自分が働きやすい環境になるよう、積極的に意見を出すこともありました。
有給休暇
子どもの学校行事のために有給休暇を消化していたので、
自分のための休みを取らないように配慮する必要がありました。
子どもを持つ社員には、
学校行事休暇などの特別休暇があると助かるという考えを、会社に提案しました。
リモートワーク
会社はリモートワークには消極的でした。
勤務時間中に仕事をしているかどうかを把握できず、生産性の低下を心配していたためです。
通勤に往復2時間かかっている私の場合、
たった1〜2時間の学校行事のために有休を取らなければならず、
抱えているタスクによっては少しでも作業をしたい状況もありました。
そこで会社と交渉し、学校行事の時だけ離席するリモートワークを許可してもらいました。
子どもの年齢による差
社内には私の他に子育て中の女性が働いています。
私とは逆で、出産前にキャリアを積んでいる女性たちで、
子どもはまだ乳幼児や小学校低学年です。
子どもの年齢が低いほど両立は難しそうに見えました。
子どもの体調不良による欠勤や早退の頻度は高く、
お迎えなどのために、より計画的に行動する必要があるからです。
3年が経過して
起業への思いは変わっていません。
入社以降、会社が請負う仕事の方向性が少しずつ変化しました。
今後、自分が習得したい技術に挑戦する機会を与えてもらえるかどうかが鍵になります。
どんなに環境が良くても、自分にとってプラスにならない時間を過ごすのは望まないからです。
まとめ
結婚や出産、育児を経験した人には、多くの困難を乗り越えてきたという強みがあります。
そのことは社会復帰した時に気が付き、それが自信になるはずです。
技術は努力で習得できます。
タイミングもあるので、焦らずに自分らしく働ける企業と出会うチャンスを待って欲しいです。
これまで家族のために頑張ってきた自分へのご褒美として、
自分自身のためにいろいろなことに挑戦していくその姿は、周囲にも良い影響を与えます。
社会復帰を迷われている方にとって、
私の体験談が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。