
SES業界の営業についてそんな疑問をお持ちの方は少なくないと思います。
そこでそのような方々向けに私のSES業界の営業としての体験談を通じて、
SES営業への理解を深めるお手伝いをさせていただきたいと思います。
最後までお付き合いいただければ幸いです。

私は関西のSES企業で1年と2か月営業として勤務していました。
なぜエンジニアではなくSESの営業としてIT業界に入ったのかというと、
エンジニアのために働くことで、
他者に貢献したいという強い気持ちがあったからです。
ですが現在は退職し異業種で働いています。
入社から退職までの1年2か月
私は中途採用でSESの企業に入社しました。
給与は約20万円で成績次第で大幅な給与アップがありました。
それまでは全く異なる職種、業種で働いていました。
なので全く未経験の世界に足を踏み入れたことになります。
「できるのかな……」という不安より、
これから新しいことをするんだというワクワクした気持ちでいました。
入社後の作業
入社後一か月ほど取り組んだ業務はメールの確認でした。
ただ単に社外からのメールを確認するのではなく、
他社からの案件、人材提案のメールの内容を確認し、
業界の仕組み、案件、人材の単価感を肌で感じるための作業でした。
これは職種、業種未経験の私にとってぴったりの作業でした。
業界のことを知れるだけでなく、
メールの書き方や案件、人材の提案の仕方をこの作業を通じて知ることができました。
未経験の私にとって良い入り方ができなと感じました。
初めての試練
良い入り方ができましたが、一つ目の試練が訪れました。
それはテレアポです。
電話恐怖所の私にとって辛い作業でした……。
というのも今まで電話対応などろくに行っていなかったため、
電話に出てもどぎまぎする始末でした。
にもかかわらず今回は自分の方から電話をかけることになりました。
新規訪問のアポイントを最低10件とることをノルマにテレアポが始まりました。
案の定電話では上手く話すことができずに苦戦しました。
ここまで話すとテレアポは難しい業務に感じるかもしれません。
確かに電話での会話には多少なりとも難しさを感じるかもしれませんが、
SES業界のテレアポはそこまで難しくはないと感じました。
なぜならこの業界は協力企業を探している会社が多いからです。
つまりこちらもテレアポなどで新規開拓をするように、
他社もそのような開拓を行っているのです。
なのでこちらのテレアポを受け入れてくれる会社も多かれ少なかれありました。
逆に他社からの新規開拓の電話がかかってくることもあり、
ある種のやりやすさがあるかと思います。
結果的に最初のテレアポでは7件しかアポイントを取ることができませんでしたが、
コツさえ掴んでしまえば、テレアポに対する苦手意識は薄まるかと思います。
新規訪問と話すことへの恐怖
アポイントが取れたら、次はその企業に訪問することになります。
訪問して何をするのかというと、自社のパンフレットを持参し、会社概要を説明します。
そして訪問先の企業の会社概要などについて質問をし、その会社のことを深く知る作業に移ります。
このとき大事になるのは何を質問するかです。
会社概要と言ってもその企業のホームページを見れば表面上は理解を深めることができます。
ですが会社の概要は日々変わるものです。
社員数が100人と記載があっても、これは現在の数字ではないかもしれません。
(企業によってはホームページに○○年現在と補足が書いてあるかもしれません。)
また、その社員数の数字には協力会社の要員は含まれていない場合もあります。
その点も確認材料として質問していいかもしれません。
他にはどの言語の技術者が多く在籍しているのか、
どの分野の開発に力を入れているのか、
人材の提案は自社の社員に限られるのか、
自社の協力会社の要員は提案可能かといったことも確認しておいて損はないでしょう。
(個人的にこれは必ず聞くようにはしていました。)
ですが大事なのはそのような質問をするだけではありません。
大事なのはコミュニケーションです。
実際に会った担当者とどれほど繋がりを持てるか。
特に規模が大きい企業の担当者ならなおさらです。
そういった方と仲良くなれるかは非常に大事になってきます。
なぜならそういった方と仲良くなることで、
なかなか出回っていない案件の情報を教えていただいたり、
他の部門や他社の担当者を紹介していただいたりするなど、得るものが多いからです。
ですが規模の小さな企業の担当者も例外ではありません。
誰が誰と、どのような繋がりを持っているかなんてわかりませんし、
そこから人脈が広がることも十分にありえます。
要するにコミュニケーションを怠らず、良い印象を与えることができれば非常に有利になります。
最初の訪問でいきなり仲良く……
なんてことは難しいですが、最初の印象は大切です。
そういった意味で言うと、私の第一印象は最悪でした。
新規訪問ではド緊張し、会話が成り立たなかった程です。
挙句の果てには時間の無駄と厳しいご指摘をいただくこともありました。
本当に自分は営業に向いているのだろうか。
マイナスの思考に体を乗っ取られながら新規訪問を繰り返しました。
馴れはしたものの……
新規訪問を繰り返して一か月ほど経ち、
徐々に話すときの緊張は少なくなっていきました。
しかし営業にとって大切なのは結果です。
新規訪問は馴れつつあるも、その間契約を取ることはできていませんでした。
それだけでなく、面談すら設定することもできていませんでした。
原因としては案件情報、提案できる技術者の不足です。
多くの企業の担当者と知り合えても、未熟さが前面に出た私に情報を与えてくれる人は少なかったです……。
少ない中で
情報数に限りがあるので、
少ない情報の中でなんとく契約を成立させなければなりませんでしたが、
粘り強く新規訪問した企業の担当者に電話をするなどして、
情報を収集し、手持ちを増やしました。
そして奇跡的に良い案件情報を手に入れることができました。
しかも未経験でも参画可能な案件です。
そしてその案件に提案ができそうな人材も見つけたので、
すぐにその技術者を提案しました。
そしてすぐに面談を設定することができ、契約を成立させることができました。
入社から四か月での初契約になります。
1年と2か月で思ったこと
初契約の勢いそのまま、
どんどん契約を結んでいきたかったところでしたが、それは叶いませんでした。
この会社に在籍していたのは1年と2か月です。
初契約から退職するまで、私が契約を結べたのはたった3件です……。
コロナの影響で案件が激減したこともありますが、これが私の営業としての成績です。
自分の限界を感じ、肉体的、精神的にも大きな負担を感じていました。
それに耐えきることができなかったので私は退職を決意しました。
今になって思うのは、私はSES業界云々ではなく、
そもそも営業に向いてなかったと個人的に思います。
ここまで聞くとこのSES業界は難しそうに聞こえるかもしれませんが、
実はこの業界の営業は
中途入社でかつ営業(もしくはSES業界の営業)を未経験の方が多いです。
向き不向きこそあるかもしれませんが、
そこまで入りにくい世界ではないと感じています。
この業界を詳しくお知りになりたい方はこの書籍をオススメします。
その後
次はどんな仕事をしようか。
エンジニアになることも考えましたが、
IT業界の厳しさ
(現場によっては残業時間が長いことや業務内容が難しすぎて理解できず契約を解除されるなど)を
知っていたので、それはありませんでした。
ですがプログラミング自体には興味があったので、
どこかでhtml、cssなどの比較的優しめな言語を勉強してみたいと考えていました。
そんなとき事務職系の職業訓練のチラシをハローワークで見かけました。
簿記やパソコン操作などのカリキュラム内容の中に、html、cssが入っていました。
「これだ!」と思いすぐに決断しました。
四か月の訓練期間の中で一ヶ月間html、cssの勉強を行いました。
実際に自分の作ったものがホームページとして完成したこと。
これには大きな達成感がありました。
余談になりますが、
SESの営業をやっていた人が技術者に転身するケースがよくあります。
理由は人によって異なるかと思いますが、
私の知っている他社の営業さんは、IT業界の厳しさを承知しつつも、
それ以上に
プログラミングで何かを作ってみたいという意欲が強かったと話しています。
(他には個人の営業成績が振るわなかったため、
会社から技術者からの転向を命じられるケースもあるようです。)
以上が私のSESの営業としての体験談になります。
わかりにくい点があるかもしれませんが、
SES営業ってきつい?という疑問の答えに少しでもなれば幸いです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。