ノースキルでSES企業に転職しても大丈夫? 4年半勤務した体験談

未経験
IT業界に転職しようと思っていますが、ノースキルでも働けるのでしょうか?

私はノースキルでSES企業に転職して4年半勤務しました。
いくつか注意点はありますが、ノースキルでも十分働けます。

「未経験可」の求人はたくさんありますし、まだまだ人手不足の業界です。

実際に働いて感じた事や、現場はどうなっているのかを私の経験からお話していきます。

 

そもそもSESって何?

SESとは System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の頭文字を取った言葉で、主に客先に常駐してシステム開発や修正といった業務を行います。

案件に参画する前には客先の方と面談があり、スキルや人間性などを見られます。
客先の方からOKが出れば晴れて案件に参画出来る仕組みです。

契約期間が決まっていて、その期間内は客先が仕事場となります。

稀にスキルのミスマッチや、やる気がない等が原因で、契約期間内でも客先から契約を打ち切られる事もあります。
当たり前ですが、案件に参画するからにはしっかり貢献して成果を上げる必要があります。

主にどんな仕事(案件)をしてきたのか

最初はテスト案件

担当業務 : テスト
言語・技術: Excel
契約期間 : 約10か月

最初はテスト案件でした。
手順を記載したファイルを元に、手順通りにテストを実施します。
実施結果をExcelファイルに記載して、エビデンスファイル(実施した証拠)を作成します。

単純作業の繰り返しで、頭を使う作業はありません。

テスト実施 → 画面キャプチャー → エビデンスとしてExcelファイルに貼り付ける

この繰り返しです。

ソースコードには一切触れませんでした。
ノースキルの新人ですから当たり前かもしれません。
ITの仕事に慣れるという意味では良かったのかもしれませんが、やりがいや、面白さは感じられませんでした。

メガバンクの新システム構築

担当業務 : ドキュメント修正 / テスト
言語・技術: Excel / SQL
契約期間 : 約1年5か月

少しIT業界にも慣れてきた頃で、そろそろ仕事内容もステップアップしたいと思っていた時期でしたが相変わらずテストとExcelファイルの修正です。

テスト用のデータを作成して、プログラムを実行した結果、データがどの様に変わったのかを確認する為にデータベースにアクセスしたりとそれなりにエンジニアっぽい事も経験出来ました。

やっている内容としては簡単で、基礎の基礎といったレベル感でした。

この案件では発注元の意向で急に仕様が変わるなど、たくさん理不尽な経験もしました。
私はドキュメントの修正のみなので影響としては小さかったですが、開発担当者は、変更されることによって他に影響はないかなど調査が必要ですので、かなりの負荷がかかっていました。

こうして案件が炎上していくのかとぞっとしたのを覚えています。

新システムへデータ移行

担当業務 : データ移行
言語・技術: SQL
契約期間 : 約2か月

この案件でようやくソースコードを書く案件に参画する事が出来ました。
ミッションは旧システムから新システムにデータ移行を行うという内容でした。

作業内容は以下です。

①ストアドプロシージャを作成
※ストアドプロシージャについて詳しく知りたい方は検索してみて下さい。

②テスト環境を使ってデータ移行のテスト

③データ移行に必要なコマンドや手順を準備。

④データ移行当日のタイムスケジュール作成

⑤データ移行実施

 

ストアドプロシージャを作成するための仕様書は事前に用意されていました。
仕様書通りにソースコードを書けば問題ないとの事でしたが、これまでほとんどプログラミングをしてこなかった私には難し過ぎるミッションです。

参考になりそうなストアドプロシージャを見て参考にしたり、インターネットで必死に調べたり、先輩に聞いたりもしました。

それでも作成したストアドプロシージャを実行すると返ってくるのはエラーです。
単純なスペルミスや、ロジックがおかしいなど基礎が出来ていない事を痛感しました。
また、エラーメッセージの内容もわからず、そのままエラーメッセージをインターネットで調べたりしていました。

今まで現場でプログラミングを全くと言っていいほどやってこなかったのに、基礎を飛ばしていきなり応用レベルのスキルを要求されています。

もちろん毎日帰りは遅くなり、休日出勤もしてどうにか納期に間に合わせるために全力を尽くしました。
無事にデータ移行が完了するのですが、精神的にも肉体的にもかなり疲弊する案件でした。

今思えば、私のスキルはこの案件に対して足りていなかったと思います。

自社の営業
がっつりプログラミング出来る案件だよ。

と言われて、よく確認もせずに引き受けた結果です。

しかし、身の丈に合った楽な案件ばかりでは成長はありませんし、挑戦出来ません。エンジニアは身の丈に合わないような難しい案件を乗り越えながら成長していかなければいけません。

とは言っても極端な乖離がある場合はスキルのミスマッチとなり、双方が不幸な結果になってしまう事もあります。

客先と面談をしてから配属されていますが、短い時間でスキルレベルを正確に判断するのは難しいです。人間性についても同様の事が言えます。

また、会社としては、多少無理にでも人を案件に入れて売り上げを作らなければいけません。
この仕組みには、SESの闇を見た気がしました。

金融系案件のPMO

担当業務 : PMO
言語・技術: Excel
契約期間 : 約1年3か月

PMOとはProject Management Office(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の頭文字を取った言葉です。プロジェクト全体をマネジメントし、プロジェクトが円滑に遂行されるようにサポートやマネジメントをするのが役目です。
基本はExcel等でドキュメント作成を行い、プロジェクト全体や各チームの進捗状況を管理します。

大事なのは

どのような作業が、どれだけあるのか

その作業はどのくらい時間がかかるのか

他の機能との関係性はあるか

をしっかり洗い出し、スケジュールに落とし込む事です。 作業の洗い出しが正確にできないとそのスケジュールは機能しません。

各チームとのコミュニケーションが非常に大切です。
もっと言えば情報を引き出すためにこちらからの積極的なコミュニケーションが求められますし、相手からも話しかけやすい関係を作っておかなければいけません。

また、プロジェクトを進めていく上で、遅延することは珍しくありません。スケジュールに遅れが出る場合は、

どの程度遅れる見込みで

それは他のチームにどのような影響があるのか

をヒアリングしてスケジュールに反映させます。
こうして進捗状況を把握してリカバリープランを考えます。

幸いな事に、私はコミュニケーション能力には少し自信がありました。ある意味ぴったりのポジションだったのかもしれません。
とにかく毎日色々な人とコミュニケーションを取りました。

 

楽しい反面、関わっているチームが多く、仕事量はかなり多かったと思います。
また、会議が毎日のように行われ、自分の作業時間を確保するのに苦労しました。

PMOとして働く上で、プログラミング言語を知っておくと役に立ちますが、それよりも、「システムの仕様をしっかり理解する。」という事が非常に重要です。
機能単体を見るのではなく、目線をシステム全体やプロジェクト全体に向ける必要があります。

異業種に転職した理由

①もっと稼ぎたいと思ったから

中小企業で勤務していたため、昇給がほとんどありませんでした。
毎月残業代が違うくらいで、基本給などはほぼ入社時から変わりませんでした。

新卒以外で「未経験可」の求人とは、“誰でも良いからやる気のある人来てくれ” という意味です。
さらに歩合給ではないので、自分自身の成果を評価してもらって給料を上げてもらわなければいけません。

成果が目に見えずらい業界なので、会社側になかなか成果を認めてもらえず泣き寝入り状態でした。

②スキルが身に付かなかった

案件によって仕事内容が変わるため、毎回仕事に必要なスキルを補填し続けてきました。
その結果、広く浅い知識しか身に付かず、今後プログラマーとしてやっていく自信がありませんでした。

マネジメント側に行く事も考えましたが、過去の案件で、プログラミングスキルのないマネジメント層をたくさん見てきて、コミュニケーション能力だけでは限界がある事に気づいていました。

③そもそも向いていない気がした

IT業界にはいわゆるオタクがたくさんいます。、自作のPCの話や、このソースコードは美しいなどという会話を楽しそうにしています。

正直私は興味が湧きませんでした。

しかし、その業界で働くのであれば、このオタク達と競わなくてはいけないわけです。勝てる気がしませんでした。

普段からプログラミングの事を考えている人と、仕事の時以外は趣味の事ばかり考えている人では、どちらが将来優秀なプログラマーになるかは明らかです。

これが転職を決断する一番大きな要因でした。

趣味を仕事にしている人には追いつけないですし、ただでさえ日々勉強が求められる業界です。
自分にあった仕事をしよう。そう思いIT業界から別業種に転職しました。

SESで働いて感じた3つポイント

①未経験でも働くことは可能

ノースキルで転職した率直な感想は、未経験でも働くことは可能という事です。
「未経験可」という求人がたくさんあります。中小企業であればかなりの求人数がありますので、転職は可能だと思います。

ただ、ITは専門的な知識を必要としますし、新しい技術はどんどん世に出てきます。
時代に置いて行かれないように日々勉強をしなくてはいけませんので、その点は覚悟が必要です。

②案件は選べない

案件は会社が取ってきますから、自社の営業力に依存します。
さらに、良い案件に参画出来るかどうかは完全に運です。

毎回違うスキルを求められることもあれば、類似した案件が繋がる人もいます。
案件が変わる度に一から違うスキルを身に付けなくてはいけないなど、苦労する可能性は大いにあるという事は覚えておいてください。

③専門分野を持ちにくい

上で述べたように、毎回違うスキルを身に付けていると、”広く浅いスキル” しか身に付かない。なんて事になりかねません。

IT業界は専門知識を使って仕事をしますので、“何でも屋” よりも”専門家” の方が活躍の場は多いです。

案件に振り回されないように先を見据えたビジョンを持って、日々の業務とは別に資格取得などの自主勉強をする事をおすすめします。

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