転職を考えていて、手に職をつけるためにWeb業界を目指している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もデザイナー志望でしたが未経験でしたので、就職に使える武器がほしいと思い職業訓練を受講しました。

結論から言ってしまえば、未経験者が職業訓練だけでWebプログラマーになるのは難しいです。私もデザイナーにはなれましたが、当時Web業界には就職できませんでした。
それでも、私は自分の体験から、職業訓練に通う事をおすすめします。その理由を説明していきますので、是非参考にしてください。
職業訓練について
職業訓練は厚生労働省が求職者を対象に支援している公的な制度で、ハロートレーニングとも言われています。 この記事では、雇用保険を受給している求職者を対象とした公共職業訓練について記載していきます。
職業訓練校に入るには?
ハローワークで求職の申し込みをする必要があります。窓口で受講したい訓練を伝えて申込書をもらい、必要書類を揃えて手続きを行いましょう。
ただし、「受講開始日からさかのぼって1年以内に公共職業訓練を受講していない人」が条件です。
実は選考試験がある
学校なので試験があります。試験内容は面接、書類選考、筆記試験などです。私は事前にハローワークの職員さんにどういう試験があるのか聞きました。
人気の訓練は倍率が高いので落ちる事があるが、勉強する必要はない、との事でした。
私が受けた試験は学力テストと職業適性テストで、いずれもマーク式でした。面接はなかったです。
なにか準備しておく物はある?
基本的には訓練校から通知がくるので、そこに記載されている物以外は必要ありません。
ですがWeb系の授業なのでパソコンはあった方が良いです。家に帰って復習できます。
また、授業に使用するテキストで理解が追いつかない場合は、自分で参考書を購入することもあるでしょう。
職業訓練をおすすめする5つのポイント
職業訓練はスキルアップしたい求職者にとってメリットの大きい制度です。勉強や技術を学べるだけではない、おすすめするポイントを5つ紹介していきます。
1. 失業保険をもらいながら勉強できる
普通の自己都合退職だと、待機期間→給付制限を経て失業保険を受給できます。職業訓練だと7日間の待機期間はありますが、訓練開始日より支給されるので給付制限が短縮されるうえに、訓練期間は受給が延長できます。また、遠方からの通勤でしたら交通費も支給されます。
*延長には訓練開講日の時点で給付日数が3分の2以上残っていることが条件です。
求職期間中は無収入が本当にこたえます。スキルを得られるだけでなく、失業保険のサポートも得られる安心感は職業訓練の最大のおすすめポイントです。
2. 授業料がタダ
授業料は必要ありませんでしたが、テキスト代、資格試験の費用などで3万円ほど出費はありました。それでも、専門学校やスクールに通うより断然費用がかかりません。
Webプログラミングを学びたいけれど自分がプログラミングに向いているのか不安だ、という方にとって、費用は安心材料になるのではないでしょうか。
3. 勉強するだけの時間
勉強のためのまとまった時間を取れます。特にプログラミングはトライ&エラーを繰り返す事で覚えていくので、仕事をしながらだと、やはり時間がかかります。
その点、訓練中も家に帰ってからも勉強のための時間がとれるので、集中して勉強に打ち込むことができました。通っていた人の中には、職業訓練校ではWebを学び、家に帰ったら別の資格の勉強も同時進行していた人もいました。
職業訓練だと安心して自分の将来の為に時間を使えるのが魅力です。
4. 質問できる環境
独学だと勉強中に分からないところが出ても解決に時間がかかります。特に未経験者だとWebを使っても難しく、最悪、つまずいたまま勉強を放り投げてしまう可能性もあります。
私が通っていた職業訓練校は現役の講師が専門分野を教えていたので、分からない場所が出ても気軽に質問できました。おかげで授業の内容になんとかついていけました。
5. 資格がとれる
職業訓練では、本当に資格が複数取れます。私の履歴書も職業訓練のおかげで一気に資格の欄が埋まりました。実際に取得した資格はこんな感じです。
- Javaプログラミング能力認定試験
- ITパスポート試験
- Webクリエイター能力認定試験
- Excel表計算処理技能認定試験
現場では役に立たないと評判の資格ですが、私は意外と役に立つこともありました。
求職活動のつなぎで、派遣で働いた事があるのですが、事務職でプログラミングの資格を持っている人は少ないらしく、時短や時給アップなど派遣先で条件が結構優遇されました。*あくまで個人の体験です
Webの現場では使えませんが、とりあえずパソコンは使える、という証拠になるので持っていて損はしません。
職業訓練は日本全国に複数あり、場所によって得た感想もまた変わります。もっと他にも経験を知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
職業訓練でどこまで学べるか?
私が学んだコースはWebクリエイター科という、プログラミングからグラフィックソフトの扱い方までを学べる授業でした。内容は、プログラミング言語はHTML、CSS、PHP、Java、グラフィックソフトはIllustrator、Photoshop、Dreamweaverで、チームでデーターベースを構築して小さなショッピングサイトを作成することが最終目標でした。
訓練期間
受ける授業にもよりますが、訓練期間はだいたい2ヶ月~6ヶ月程で、他にも1年~2年間の長期訓練もあります。私が受けた訓練は6ヶ月でした。
プログラミングとデザインの授業の他にインターネットに関する基本的な知識やExcel、ビジネスマナーの授業もあるので、スケジュールは結構キツキツでした。
授業は難しいか?
初学者でも大丈夫なように教えてくれました。デザインのテキストは市販品でしたが、プログラミングは講師手作りの冊子で、とてもわかり易かったです。
学習意欲があって、わからない事があったら積極的に質問をし、家に帰ってちゃんと復習をしていれば、プログラミング未経験の私でも、最後までついていけました。
もし訓練の内容に余裕がある方は、授業の先も勉強し、わからない点を講師に質問すると良いでしょう。せっかく質問できる環境にいるのですから、これを使わない手はありません。
最終的にどのくらいできるようになったの?

訓練校の参考書がないと無理ですが、html、css、phpの基礎的な部分を使ってごく簡単なショピングサイトを、1人でも作れるようにはなりました。
訓練校の卒業制作がショッピングサイトのチーム制作だったのですが、この時チームにいた元システムエンジニアさんがリーダーシップをとってチーム全員に流れを教えてくれたので未経験者の私でも流れを把握できました。
もし個人制作だったら、受講期間中はなんとかショッピングサイトを作ることはできても、卒業後も1人で作り上げるまではできなかったと思います。
職業訓練ではプログラマーにはなれない!?
私が在学中の時は、元々プログラマーやシステムエンジニアの方もいて、そういう方は普通にプログラマーとして就職していましたし、人によっては入校して1ヶ月後に就職していった方もいました。
なぜ職業訓練を受けたのか話を聞くと、Web系のプログラミング言語はやった事がないから、という理由でした。
最初から即戦力タイプの人は普通にプログラマーとして就職できていました。
未経験者ではかなり厳しい
未経験者でWeb業界に就職できた方は2人。うち、プログラマーはゼロでした。
就職できた2人も、求人に応募して受かったわけではなく、知り合いの紹介を頼って就職できたと言っていました。
私も知り合いの紹介でデザイナーになれましたが、Webではありません。
職業訓練中に制作したWeb関係の作品がショッピングサイトしかなく、Web業界に対してアピール不足でした。
訓練期間中にもっと自主的にWebサイトやアプリケーションを制作していれば、今でも職業訓練で得たスキルを活かせたのではないかと、この点だけは今でも後悔しています。
未経験者が職業訓練校の授業のみでWebプログラマーになるのは難しいでしょう。自分から積極的に学習する必要があります。
年齢の壁はやっぱり大きい!
職業訓練のみでプログラマーになるのは難しいと書きましたが、20代でしたら別です。基礎教育を行っている未経験者向けのプログラマーの求人では20代を対象としています。職業訓練でプログラミングを学んだといえばアピールになるでしょう。
30代でも、35歳までなら、数は少ないものの研修付きの求人があります。職業訓練の課題とは別に、自分で作ったWebサイトやWebアプリケーションを提出して自分の伸びしろと本気度を見せれば勝機はあります。
しかし、それ以上の年代となるとやはり即戦力を求められます。
本気でプログラマーになりたいのでしたら、スクールに通って即戦力のアピールができる作品を作る事をおすすめします。
また、別の視点から「職業訓練はおすすめしない」体験談もありますので、興味のある方は参考になるのでご覧ください。
職業訓練校はステップの一歩としておすすめ!
職業訓練校では初心者でもWebプログラミンを学べるようにカリキュラムが組んであります。失業保険のサポートを受けながら勉強できる点はとても心強いメリットです。
反面、職業訓練のカリキュラムは基礎訓練が中心のため、即戦力になるとは言いづらく、年齢によっては就職が厳しい事もあります。
本気でプログラマーを目指したいのなら、オンラインスクール等でWebプログラミングを学ぶ必要も出てくるでしょう。ですが、勉強の最初の一歩として職業訓練校を選択するのはおすすめです。