【体験談】大手SIerに3年間勤めた私が思うこと

初心者
SIerって聞いたことあるけど、いまいち何のことだか分かりません。
システムエンジニアとかプログラマーと何が違うんですか?

SIer(システムインテグレーター)とは
大きなシステム開発を請け負ってくれる “会社” のことです。

この”会社”の部分を ”人” に変えるとシステムエンジニアです。

このシステム開発の中にはプログラミングだけでなく、
お客さんから要望を聞いて仕様を固める工程から
プログラミング前の設計構想、実際に動くかどうかのテストなども含まれます。

一方、プログラマーとはこれら一連の工程の中でプログラミングを主に担う人のことです。

書いた人
私は、高専の情報工学科で5年間プログラミングを学びました。
学生時代に使用していた言語は主にC言語、Java、HTML、JavaScriptなどです。

卒業後は女性システムエンジニアとして大手SIerに就職しました。

3年後、私はこのSIerを辞めることになるのですが、
今回はSIerでの体験談と退職するまでの経緯についてご紹介したいと思います。

プログラミングスキルを活かして、いざSIerへ就職!

予想以上に手厚い教育実習

新社会人の女性の画像

私の就職した会社では3ヵ月の教育実習がありました。

そこで基本的なビジネススキルからプログラミング実習まで、
実際のお仕事で必要な基本スキルを叩き込まれました。

プログラミング実習ではアセンブリに始まり、
C言語、Java、SQL、HTML、JavaScriptを教わりました。

同期には文系大学出身でプログラミングに触れたことのない人も半数ほどいましたが、
理解度別にカリキュラムを組み立ててあり、論理的な考え方の基礎から教えてくれていたので、
とても手厚い教育制度だったかと思います。

いきなり高難易度のプロジェクトへ配属!月70時間超の残業

3ヵ月の教育実習を終え、私は大手銀行のシステム開発プロジェクトに配属されました。

本来、新人は人数の多く必要なプログラミング工程やテスト工程に
プログラマーやテスターとして入ることが多いのですが、
私の配属されたプロジェクトはまだお客さんから要望を訊き出して仕様を固める段階でした。

場合にもよりますが、一般的に上流工程は多くの知識を必要とするため
難易度が高いとされており、経験を積んでスキルアップしてから臨むような工程です。

そこに新人でいきなり投入されたので、配属当初は右も左も分からないことだらけでした。

その結果、
1年目にして残業時間が月70時間を超えてしまい、同期内でトップクラスとなってしまいました。

初心者
辛い、辞めたいとは思わなかったのですか?
書いた人
意外に思われるかもしれませんが、この時は周りの人の方がみんな大変そうだったので辛いとは全く思いませんでした。

お客さんから差し入れでいただいた高級焼き肉店のお弁当をみんなでわいわい食べたりして楽しかったです。

安定したと思われたSIer2年目!

2年目になるとプロジェクト自体がだんだんと落ち着いていき、
それに伴って仕事のペースも緩やかになりつつありました。

私は主にデータベース周りの開発や管理を担当するチームになり、
主にSQLを扱うことが多く、他にはJava、HTMLを使用していました。

平和な日々もつかの間…上司から課される無茶ぶりタスク

ある日、上司から資料の作成を任されたのですが、
実はその資料がプロジェクトの成功を左右するほど超重要なものであることが後に分かりました。

2年目と言えど、まだまだ未熟者の身で重要な役割を担わなければならなくなったのです。

  
私は、足りない知識を人に訊きまくることで補い、追いつかない能力を
残業という名の時間をかけることでカバーして、何とか仕上げることができました。

自分の力で乗り切ると周りの評価が変わる


プロジェクトの根幹に関わることでどういうことが起きたかというと、
開発しているシステムへの理解度が飛躍的に向上しました。

自分が作った資料がプロジェクトの教科書的な立ち位置になったので、
新しく入ってきた人達は分からないことがあればその教科書の作成者に訊くことになります。

初めは訊く立場から訊かれる立場になったことへの戸惑いと大変さがありましたが、
慣れていくうちにどんどん答えられるようになり、
それに伴って周りの人達からの評価も変わっていくのを感じました。

この時、新人という枠からやっと抜け出せたのではないかと思いました。

友達の一言で気付いた自分の本心


日々の仕事にも慣れて一人前に近づいてきていることを感じていた2年目のある日。

別の会社に務めている友達とお酒を飲みながら仕事の話をしていました。
近況報告をしていた私は友達に「その仕事のどこが楽しいの?」と尋ねられました。

友達に悪気は一切なく、純粋に疑問に思った上での質問だったのですが、
私は返答に困ってしまい、今自分が仕事を楽しいと思っていないことに気づかされました。

毎日の仕事に追われ、仕事を楽しむということ自体を忘れてしまっていたように思います。

葛藤と決意のSIer3年目!

自分の気持ちとは裏腹に上がっていく周りの期待値


3年目になり葛藤する私の気持ちとは裏腹に、周りの期待値は上がっていき、
チームリーダーに任命されたり、新人の教育を任されたりするようになりました。

そんな日々の中でも私の中では友達から言われた一言がずっと引っかかっていました。
というのも、実は学生時代にIT業界と別にもう一つ興味を持っていた業界があったからです。

将来的なことを色々考えた上で、学校で学んだことを活かせるSIerという道を選びましたが、
社会人3年目で生活が安定した今であれば、また新しい業界にも挑戦できるのではないか
という思いがありました。

初心者
生活が安定していたとのことですが、当時の年収はどのくらいでしたか?
書いた人
私の場合は、ボーナスや残業代を含めて400万円程度でした。
現代において20代前半でこの年収は高い方ではないかと思います。

決定打は昇進の話


決め手となったのは上司から昇進を勧められたことでした。

キャリアプランを考えればとてもありがたいお話だったのですが、
立場が変わってしまったら、もう抜け出せなくなってしまう!と思い、
思い切って上司に退職を考えていることを打ち明けました。

初心者
退職したいと伝えて、嫌な思いをすることはありませんでしたか?
書いた人
これは本当に周りの人に恵まれていたと思うのですが、
上司達は新しい挑戦を理解してくれて、とても応援してくれました。

一方で、気が変わったらいつでも戻っておいでとも言ってくれました。

その後、時期を相談しながら退職準備をすすめ、
IT業界から全く離れたイベント業界に勤めることになりました。

これからSIerを目指す人に伝えたい3つのこと

IT業界の中でも幅広い経験が積める職種


一般的に特定の会社内のシステム部門などに勤める社内SEだと
自社内独自のシステムに知識が偏ってしまったり、
新しい技術を取得しにくかったりする可能性があります。

その点、SIerに勤めるシステムエンジニアは色々な企業のシステム開発に携わるため、
新しい知識や技術に触れる機会が多く、幅広い経験を積むことができると感じました。

私の周りは証券ならC言語、銀行ならJava、官公庁ならCOBOLに触れることが多い傾向にあり、
開発環境も使うデータベースの種類が違ったり、導入する開発ツールが違ったりしました。

こういった違いを同じ会社の中で経験できるというのは、SIerの大きなメリットの一つです。

プログラミングがしたい!という人には向かない


SIerはシステム開発の初めから終わりまで、関わることになります。
このうちプログラミングをする開発工程は1割にも満たないことが多いです。

例えば、
1ヵ月でプログラミングをしたとすると大体3ヵ月かけてテストしていくことになりますし、
その前にテストと同じくらいの時間をかけて設計書などを作成します。

つまり、働いている時間の中で9割以上の時間は別のことをしていることになるのです。

プログラミングに特化してスキルを伸ばしていきたい!という人は
外注をせず自社開発をしている会社に勤めることをおすすめします。

ブラックともホワイトとも言えない


同じプロジェクトでも工程によって忙しさに波があります。
実際に私の残業時間はほぼない月もあれば、70時間を超える月もありました。

そして、この忙しさはプロジェクトによっても大きく異なります。

プロジェクトは生き物と呼ばれるほど、お客さんや時勢、働く人によって
全く違う形になっていくため「SIerに入ればこういう働き方になる」
という考えは持たない方が良いかと思います。

   
以上が大手SIerで3年間勤めた私の体験談です。
少しでも参考になれば幸いです。

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