今回は、某クラウドサービスのエンジニアとして5年以上携わっている私が、今まで培ってきた経験を元にこの疑問に答えていきたいと思います。
まず、クラウドを直訳すると「雲」ですが、決して雲のようにサーバーの実体がないわけではなく、クラウドサービスを提供している会社で管理している物理的なサーバーは存在してます。
その管理しているサーバーを多くのユーザーで共有して、インターネット経由で利用する仕組みのことを言います。
サーバーについては、大きく分けて、クラウドサーバ―のほかに「レンタルサーバー」と「オンプレミスサーバー」があります。
レンタルサーバーは、クラウドサーバーと同様に月々料金を支払い、多くのユーザーでサーバーを共有するものです。
また、オンプレミスサーバーは、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、サーバーを会社で保有し、その会社だけで利用するサーバーのことを言います。
まずは、それぞれのサーバーの違いについてご紹介していきたいと思います。
クラウド、オンプレミス、レンタルサーバーは住まいのようなもの?違いについて解説

3つのサーバーについて、クラウドサーバーは「賃貸マンション」、レンタルサーバーは「シェアハウス」、オンプレミスサーバーは「戸建て住宅」をイメージしてください。
賃貸マンションは、月々家賃を支払い、マンションの部屋を借りる、シェアハウスは、ひとつの部屋を借りて、複数人でシェアして住む、戸建て住宅は、家を買って自分だけが住みというものですが、この例を使ってそれぞれのサーバーの概要を説明していきます。
クラウドサーバーは「賃貸マンション」とはどういうこと?

クラウドサーバーについては、月々利用料を支払いサーバーを複数のユーザーで共有します。
ただし、ひとつのサーバーを共有するのではなく、仮想サーバーがたくさんあり、各ユーザーに割り当てられ利用するイメージです。
そのため、CPUやメモリは各ユーザーごとで管理することができます。

他の部屋の住人が部屋の中に大量の荷物を置いていも影響がないですし、勝手に他の住人が部屋のスペースを使っていたら警察呼びますよね。
このようにクラウドサーバーでは、賃貸マンションのようにサーバーの中に各ユーザーのサーバーを持つようなイメージでいいと思います。
そして、サーバーを構築する必要がないので、契約してすぐに利用することができます。

また、クラウドサーバーの特徴として、メンテナンスや障害が発生した場合に自分で対応しなくていいという点があります。
後ほど説明しますオンプレミスサーバーでは、自分ですべてメンテナンスやトラブルシューティングをしなくてはいけませんが、基本的にはクラウドサーバーの提供元ですべて対応してもらえます。
その反面、自動復旧プロセスなどが搭載されているクラウドサーバーもあるので、原因を特定する前に復旧するため、原因の特定ができない場合があります。

なお、自由にカスタマイズができないという点や勝手にアップデートなどの変更がおこなわれるという点があります。
設定を変更するなどある程度のカスタマイズは可能ではありますが、なんでも好きな機能を追加することができません。また、アップデートにより勝手に機能が変更されるということも多々あり、望んでいない機能が追加されることや使っていた機能が廃止されるということもあります。

クラウドサービスの例として以下のようなものがあります。
メールだけで言えば、Gmailやyahooメールなどのフリーメールもクラウドサービスです
・CPUやメモリはユーザーごとに割り当てられる
・メンテナンスや障害の対応を自分で行う必要がない。
・カスタマイズができない
・アップデートにより勝手に変更される
レンタルサーバーは「シェアハウス」とはどういうこと?

レンタルサーバーについては、月々の使用料を支払うことやサーバーを共有することはクラウドサーバーと一緒なのですが、他のレンタルサーバーのユーザー達と1台のサーバーのCPUとメモリを共有します。
一時期、テラスハウスという番組が流行りましたが、ひとつの家を借りて、それを複数の人で共有するシェアハウスのようなイメージです。
他のユーザーが悪さをした場合に影響を受ける可能性があります。例えば、サーバーに高負荷を与えるユーザーなどいた場合は、負荷の影響を受け、動作が遅くなることもあります。
なお、クラウドサーバーもある程度、他のユーザーの影響を受けますが、レンタルサーバーに比べれば少ないです。
メンテナンスや障害の対応も自分でする必要がない点やカスタマイズができない、勝手に機能が変更される点などはクラウドサーバーと同様です。

あとは、利用料がクラウドサーバーよりも安いというメリットがあります。

レンタルサーバーの例としては、以下のようなものがあります。
・メンテナンスや障害の対応を自分で行う必要がない。
・カスタマイズができない
・アップデートにより勝手に変更される
・料金がクラウドサーバーより安い
オンプレミスサーバーは「戸建て住宅」とはどういうこと?

オンプレミスサーバーについては、企業で保持しており、自社内で管理、運用しているサーバーのことを言います。
そのため、共有するマンションとは異なり、戸建て住宅のようなイメージです。
クラウドサーバーの場合、環境が用意できている状態で利用できるので、初期設定がほとんど不要ですが、オンプレミスサーバーの場合は、ほとんど自分で対応しなくてはいけません。
また、初期費用もかなりかかりますし、構築まで数か月かかります。

そのため、メンテナンスや障害の対応も自分でおこなう必要があります。
また、クラウドサーバーに比べると費用も割高です。ただし、長期的に使うことを考えれば、オンプレミスサーバーのほうが結果的に費用がかかりません。
例えば、オンプレミスサーバーの初期費用が10万円だとして、クラウドサービスの月々の費用が1000円だとすると、9年クラウドサービスを利用し続けるとオンプレミスサーバーの初期費用を超えてしまいます。

ただし、カスタマイズは自由にできるので、好きな機能を追加することもできます。

また、企業内のネットワークを利用しているのとセキュリティの強化が自由にできるので、クラウドサーバーよりも安全性は高いです。

・初期費用がかなりかかり、構築まで数か月かかる。
・メンテナンスや障害の対応を自分でおこなう必要がある
・クラウドサーバーよりも初期費用が高い(長期的に月額を払い続けるとクラウドサーバーの方が割高)
・カスタイズが自由にできる
・クラウドサーバーよりもセキュリティ面が高い
企業にとってクラウドサーバーのメリットとデメリットは何か?

お客様と対応している経験上、年々、クラウドサービスを利用する企業は増えていると感じます。
企業にとってクラウドサーバーを使うメリットは何なのか?または、デメリットはないのか?
クラウドサーバーのメリットとデメリットについて、まとめました。
・構築されているのですぐに利用することができる
・レンタルサーバーよりも他のユーザーの影響を受けない
・メンテナンスや障害の対応を自分でおこなう必要がない
・アップデートにより意図しない変更がおこなわれる
・長期的に利用する場合は費用が高くなる
クラウドサーバーは簡単に始められて運用が楽であるのが最大のメリット

3つのサーバーについて、「賃貸マンション」「シェアハウス」「戸建て住宅」を例にご紹介してきましたが、イメージすることができましたか。
それぞれのサーバーにメリット、デメリットがあるので、運用に合うサーバーを選択していただければと思います。
クラウドサーバーは、簡単に始められて、基本的には面倒な作業がないのが大きなメリットあり、自由度が少ないのがデメリットだと思います。
クラウドサーバーを利用することをご検討されている方のご参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。